平成27年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前II 問9
2025年7月21日
【問題9】
不正が発生する際には"不正のトライアングル"の3要素全てが存在すると考えられている。"不正のトライアングル"の構成要素の説明のうち,適切なものはどれか。
“機会"とは,情報システムなどの技術や物理的な環境及び組織のルールなど,内部者による不正行為の実行を可能,または容易にする環境の存在である。
“情報と伝達"とは,必要な情報が識別,把握及び処理され,組織内外及び関係者相互に正しく伝えられるようにすることである。
“正当化"とは,ノルマによるプレッシャーなどのことである。
“動機"とは,良心の呵責を乗り越える都合の良い解釈や他人への責任転嫁など,内部者が不正行為を自ら納得させるための自分勝手な理由付けである。
【解説】
“不正のトライアングル"は、次の3つの要素が全て揃ったときに不正が起こりやすいとされる理論です。
- 動機(プレッシャー): 不正を働きたくなるような心理的・経済的圧力。例: 過大なノルマ、借金など。
- 機会: チェック体制の不備や技術的な抜け道など、不正が可能な状況。
- 正当化: 不正を「仕方ない」「悪くない」と自己納得する心理。
ア: “機会"とは,情報システムなどの技術や物理的な環境及び組織のルールなど,内部者による不正行為の実行を可能,または容易にする環境の存在である。
正しい。"機会"はまさに不正の実行を可能にする環境であり、3要素の1つです。
イ: “情報と伝達"とは,必要な情報が識別,把握及び処理され,組織内外及び関係者相互に正しく伝えられるようにすることである。
誤り。"情報と伝達"は内部統制の構成要素(COSOモデル)であり、不正のトライアングルの構成要素ではありません。
ウ: “正当化"とは,ノルマによるプレッシャーなどのことである。
誤り。ノルマによるプレッシャーは"動機"に該当し、"正当化"は不正を自分にとって正当なものと認識する心理的過程です。
エ: “動機"とは,良心の呵責を乗り越える都合の良い解釈や他人への責任転嫁など,内部者が不正行為を自ら納得させるための自分勝手な理由付けである。
誤り。これは"正当化"の説明です。"動機"は不正を引き起こす直接的な欲求や圧力を指します。
【答え】
ア: “機会"とは,情報システムなどの技術や物理的な環境及び組織のルールなど,内部者による不正行為の実行を可能,または容易にする環境の存在である。
出典:平成27年度 秋期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前II 問9