平成28年度 春期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前II 問5
2025年7月21日
【問題5】
ハッシュ関数の性質の一つである衝突発見困難性に関する記述のうち,適切なものはどれか。
SHA-256の衝突発見困難性を示す,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの探索に要する最大の計算量は,256の2乗である。
SHA-256の衝突発見困難性を示す,ハッシュ値の元のメッセージの探索に要する最大の計算量は,2の256乗である。
衝突発見困難性とは,ハッシュ値が与えられたときに,元のメッセージの探索に要する計算量の大きさによる,探索の困難性のことである。
衝突発見困難性とは,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの探索に要する計算量の大きさによる,探索の困難性のことである。
【解説】
ア: SHA-256の衝突発見困難性を示す,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの探索に要する最大の計算量は,256の2乗である。
誤り。衝突発見困難性においては「誕生日のパラドックス」により、SHA-256では約 \(2^{128}\) の計算量が必要とされます。
イ: SHA-256の衝突発見困難性を示す,ハッシュ値の元のメッセージの探索に要する最大の計算量は,2の256乗である。
誤り。これは第二原像困難性に関する記述であり、衝突発見困難性の説明ではありません。
ウ: 衝突発見困難性とは,ハッシュ値が与えられたときに,元のメッセージの探索に要する計算量の大きさによる,探索の困難性のことである。
誤り。これは原像困難性(pre-image resistance)の説明です。
エ: 衝突発見困難性とは,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの探索に要する計算量の大きさによる,探索の困難性のことである。
正しい。衝突発見困難性(collision resistance)は、異なる2つのメッセージが同一のハッシュ値をもつような衝突を見つけることが困難であるという性質を指します。
【答え】
エ: 衝突発見困難性とは,ハッシュ値が一致する二つのメッセージの探索に要する計算量の大きさによる,探索の困難性のことである。
出典:平成28年度 春期 情報セキュリティスペシャリスト試験 午前II 問5